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日本のアニメ業界はもはや手遅れ状態なのか?

2016年に大ヒットしたアニメに「君の名は。」がありますが、この映画の興行収益はすさまじいものがあり、日本のアニメ業界にも明るい情報となっております。しかし、それに対比してアニメ業界は手遅れ状態であるという意見も多いのです。今回は、そんなアニメ業界の闇に迫ります。

 

■ブラック企業が当たり前のアニメ業界

 

2016年の11月にアニメ業界が非常にブラックであることを世の中に知らしめた会社があります。その名前は「P.A.WORKS(ピーエーワークス)」と呼ばれるもので、ニュースでも話題になったことから聞いたことがある人も多いでしょう。あまりにもブラックすぎるので非現実すぎて理解不能になった方も多いのではないでしょうか。

 

その実情が、公開した給与でもっとも高額だったのは平成28年10月支払分の6万7569円であり、年収が100万円を下回るのが当たり前というものです。はっきり言ってアルバイトのほうが確実に稼げます。弁当代や寮費、そしてバスの定期代などを控除後の支払額がわずか1477円の報酬支払明細書の画像も公開されたこともあり、ブラックすぎて希望も何もないのがアニメ業界だという認識が一気に広まりました。ほとんど無報酬で働かせるとはどんな神経をしているのでしょうか。

 

■出来高制が足を引っ張っているのか

 

アニメ制作会社の収入の基本は出来高制です。つまり、作画を何カットこなしたかで月収が決まるので、作業スピードが遅い方は年収で100万円を切るのが当たり前の状態になっています。さらに言ってしまえば拘束時間もかなり長めとのことなので、アルバイトをする時間もないのでしょう。

 

このような劣悪な環境が当たり前になっているので、10人に1人くらいしか新人が生き残ることはなくほとんどの方々は辞めていってしまっております。つまり、絵をかくのが好きとか、ジブリが好きとか、ガンダムを描くのが好きとかそういった夢と希望を持った方々が、アニメ業界の過酷な労働環境に絶望してしまい心が折れていなくなるのが当たり前の環境になっているということなのです。

 

さらに言ってしまえば、アニメ制作には莫大な費用がかかるため、リスク分散のためにスポンサーや代理店が間に入って次々と下請けに仕事を委託しているのが実状で、人材派遣業界のような多層構造になってしまっていることから、アニメがヒットしたとしても、最下層にいる方々の恩恵はほとんどないようです。

 

新人アニメーターはいきなり現場で仕事をさせられているようですが、フリーランスとして活躍するためには交渉力や技術力が必要なのが実態でそれらの知識を学ぶ暇もなくひたすら酷使され、給料もほとんど上がらない状態で心が折れていなくなってしまうのでしょう。

 

■このままではエンタメとしてのアニメは消える

 

このような雇用体系に警告を発しているクリエイターは多数いるのですが、どうにもなっていないのが実状のようです。新世紀エヴァンゲリオンシリーズなどで有名な庵野秀明さんも日本のアニメ業界の寿命は後5年と発しているので、遠くないうちに崩壊してしまうかもしれません。そうならないようにするためには業界の改革が必要なのですが、はたしてそのような未来は来るのでしょうか。