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フリーターからフリーランスの時代に

フリーターという言葉がこの世に誕生してから、おそらくまだ3、40年ぐらいであろうか。正社員を前提としない働き方であり、おそらくアルバイト・パートよりは、もっと自由なスタンスで就職する就業形態だと考えられている。最近では、完全に正社員となるよりは、フリーターとしての就職を希望する人の方の数は徐々に増加する傾向にあるようだ。

フリーターの就業形態は1日だけの単発、2,3週間から2,3か月の短期で働く場合もあれば、長期であっても週ごと、または月ごとにスケジュールを決めるといった、言い換えれば働く側の都合で就業できるという点が重視される。
そういった働き方というのは、1980年代のバブル期にコンビニや飲食店等のチェーン店の大幅な拡大普及とともに、学生達が気軽に働ける体制というのが確立されていったことによると言われている。そういった、学生たちがやがて、いざ社会人となる時に、これまでの新卒者たちとは全く違った価値観の働き方というのを、見せていくようになった。
就職活動をしながら、初期のフリーター達は考えていた。別に本当にこの仕事をしたいわけではない、他にやりたいことがたくさんある。1日8、9時間、週に5.6日も時間を拘束されてしまっては、本当にやりたいことができなくなってしまう。だから、収入は欲しくとも就職できない、と正社員としての就職はあえて望まなかったのである。当時こういった姿勢はこれまでの社会の常識からいけば、世間の目にはアウトローな若者としてしか映らず、親達もさぞかし心配したことだろうと思われる。

フリーター達は学校を卒業した後にまた、別の専門学校に行く人もいれば、マスコミや法律関係などの競争率の高い就職を狙って、チャンスを待っている人もいる。また、特殊なエンターテインメントの世界で成功したく、自己鍛錬に励む人もいたりする。高度な資格試験や免許取得のために寝る間も惜しんで 、勉強している人もいる。それは、当時も今も共通してみられる形態である。

フリーターの先駆者達は各自にそれぞれ、新しい就職の形を世の中に提示しながら、自分達の道を進んでいったに違いない。そんなことを考えている矢先にある記事を目にした。それは、「2018年フリーランスの経済規模が初の20兆円越、報酬は昨年対比で112%増」というものである。
このフリーランスという言葉は、特定の企業や組織に所属することなく、自らが自由な形態で労働力、技術力を提供して働く人、または個人でそれを事業として興している、という事だそうだ。いわば、フリーターの成熟版ともいえるその業種は、確実にその数を増やしているとのことだった。

フリーランスの中には業務委託として、不特定多数の会社と契約を結んで、独立して働く通訳、航空機操縦士、プログラマー、ITデザイナーなどの技術者が多いという。また、本業があり、副業としてフリーランスで職に就く人も年々増えてきていると言う。その人達の収入は本年度に初めて、国内の総給与収入額の10%を超えたということで、今後も大きな展開が見込まれているのことである。
もし、フリーターの先駆者たちが、当時世間から白い眼で見られつつも、どこまでも自由な生き方というものを追及しなかったとしたら、今私達の目の前に、自由の女神のごとく立ち拡がる新しい就職の形というものは、まだまだ先の話になっていたかもしれない。