不動産投資は株や FX などの金融商品と比べて価格変動が少なく、毎月安定した貸し料収入が得られるので、比較的手堅い投資と言われています。そんな投資を始めると、入居者の需 要が低かったために思っていたような貸し料収入をえられなかった人もいます。物件にある問題を見逃すと、このような損害を被ることもあります。
不動産投資に失敗した実例を参考に、失敗を回避するためのコツを紹介します。
郊外の大学が移転してしまったKさんのケース
性別:男性
年齢:50代
購入した物件:約900万円の1K物件
築年数:30年
Kさんは、大学周辺には二階建ての物件が多かったことから、防犯性の高い物件を買うことで、女性の学生が入居してくれるのではと期待して購入を決めます。駅からは少し遠いですが、貸し料は6万円、利回りは約6%を想定していました。
始めてから数年間はKさんの思惑通りで、入居率はほぼ100%を保っていましたが、5年を過ぎたころ、 少子化から大学の定員割れが目立ち、都心へ移転することに決まります。
その影響を受けて、今まで入居していた人も引っ越すことになりますし、もともとアクセスが良くなかった物件だったこともあり、Kさんは入居者を見つけるのに苦労します。
また、大学を卒業する人が3月までは入居し、内覧が卒業してからとなるため、年度の切り替え時に上手く入居者を集められなかったことも失敗する大きな原因です。結局物件を売却することになるのですが、買った時の3分の1程度の価格でしか売れなかったそうです。
競売物件に手を出して失敗したIさん
性別:男性
年齢:40代
購入した物件:約2000万円の2DK物件
築年数:25年
Iさんは、アパートを所有して安定した投資をしていますが、都心のマンション投資もしたいと考えるようになりました。しかし、価格が思っている以上に高く、実質利回りも良い物件で5%程度で、Iさんが理想とする物件はなかなか見つかりませんでした。
そんなIさんが注目したのが競売物件です。競売物件は、債務の返済が困難になった人の債権として裁判所が物件を売りに出すもので、この頃はまだ一般の人では情報を入手困難な時代です。
Iさんは、書籍で勉強したり、知人の不動産会社を頼ったりして、繁華街近くにある2DKの物件を約2000万円で買います。周りの同じ条件の物件で は相場が2800万円前後で、かなりお得に買うことができました。貸し料では月に15万円程度を期待し、リフォームをして転売も考えていました。
買った物件で事故や事件があったわけではありませんが、リフォームに500万円以上、前所有者が滞納していた管理費を払うと競売物件を購入した意味はなくなります。
フルリフォームをして売却をしましたが、管理費や税金、仲介手数料を無駄に払っただけで、高い勉強代になったとIさんは感じています。
利回りだけで物件選びをしたCさん
性別:男性
年齢:30代
購入した物件:約800万円のワンルーム物件
築年数:30年
Cさんは、購入費用が安い、利回りが良いという理由から、東京郊外の物件購入を決めます。月の貸し料を5万円と想定し、利回りは単純計算で約 7.5%です。初めの入居者はすぐに決まったのですが、契約更新時に退去してしまいます。買った物件は築年数が古く、駅から15分もある立地だったため、 次の入居者がなかなか見つかりません。
C さんは入居者を見つけようと、貸し料を4万円まで下げ、すぐに入居者は決まりますが、空室期間が4ヶ月も空き、利回りも4%まで下がります。売却も考えたそうですが、築年数の古さと駅から遠いことで買い手もなかなか見つかりません。
利回りがいくら良くても、入居者が決まらなければ利回りはゼロともなり、Iさんは利回りメインの物件選びに後悔しています。
失敗を防ぐ方法を紹介
1.一つの大学や企業の依存は避ける
少子化の現代では大学がいつ移転するか分からないため、一つの大学に入学する学生を目当てにして物件を買うとリスクが高いです。これは大手企業など でも同じで、一つの大学や企業からの依存はとても危険があることから、 立地環境をよく確認して、一人暮らしでも生活がしやすく、需要がなくならない物件を選ぶことが大切です。
2.リスクの高い競売物件は手を出さない
競売物件は、一般的な物件とは違って内覧ができません。相場よりも安く買えるメリットはありますが、ビギナーには様々な理由からハードルが高い物件とも言えます。安全に投資を行うためにも、競売物件には手を出さない方が良いでしょう。
3.目先の収益に惑わされないようにする
周りの物件の貸し料と比べて貸し料設定が高ければ、次の入居者の時には貸し料を下げざる得ないことも起こるでしょう。利回りだけを見て、周りの貸し 料の相場、物件のランクなどを考慮しないと失敗する可能性が高まります。買う時は、利回りだけでなく、物件のランクなどをよく確認した上で貸し料が適正で あるかどうかを判断する必要があります。
不動産投資ビギナーに最適な物件とは
1.需要がある物件を選ぶ
入居率を維持するためには、物件があるエリアで多くの人が生活している、増える見込みがあることが条件になります。東京圏の物件であれば、池袋、川崎、横浜が注目すべきエリアとなります。
2.新築物件を選ぶ
中古物件と比べて新築物件は購入価格が高くなりますが、高い分だけの大きなメリットがあります。
新築であれば、耐久年数が長いので、長期間安定した貸し料が得られますし、資産価値が落ちにくく、メンテナンスや管理が基本的なことで済むので維持コストも安いです。
また、新築であることで入居率が高まり、広告費なども必要なく入居者を集めることが可能です。
まとめ
ここでは、失敗した人の実例などを紹介してきましたが、成功するためには、需要の高いエリアを選ぶ、新築か中古など、様々な要素を確認して物件選び をする必要があります。そのためには様々な資料を集める必要もあります 。疑問があれば、セミナーなどに参加してプロから直接指導を受けるのも良い方法です。