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企業SNS活用の効果はどれぐらい?経済産業省の調査報告からみるソーシャルメディアが及ぼす影響とは

皆さん、こんにちは。

前回「ソーシャルメディアで効果が出せない原因とは?企業SNS運用ワンポイントアドバイス」をご紹介いたしました。

スマホを持つ人が多くなった現代、ソーシャルメディアを活用した戦略を考える企業も増えてきたとお伝えしたかと思います。

この社会現象に伴い、国もソーシャルメディア戦略の必要性を認識しているようです。

2016年4月11日経済産業省より「企業のソーシャルメディア活用に関する調査報告書」が発表されました。

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http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160411002/20160411002.html

こちらの報告書の主旨としては、
企業がFacebookやTwitter、LINEなどを始めとしたソーシャルメディア(SNS)を通じてユーザーとコミュニケーションを行いながら情報発信をしていき顧客を獲得するというスタイルが一般的になりつつある中で、
まだソーシャルメディア活用の導入をしていないまたは導入をしているが効果が出ない中小企業に向けて、成功事例などを紹介しています。ソーシャルメディアを活用することで事業活動を更に高度化するという取組の普及への課題と解決策の検討内容をとりまとめています。


報告書内のアウトライン

・スマホの普及に伴いSNS利用者が増加している。消費行動においてもSNSから情報を得るユーザーが増加。
・企業にとってSNS運用は低コストで実現できる。情報提供のみならず、ユーザーのニーズを把握することもできるため、特に中小企業にとっては従来では考えられない広い市場でのビジネス展開が可能。しかし、SNSを十分に活用できている企業ばかりではない。
・単にアカウントのファンを増やせばいいというわけではなく、投稿内容を消費者の心を揺さぶられるような
ものに工夫をすることや、商品等にとって適切なSNSの選択、目的設定を行う必要もある。

各業界におけるソーシャルメディアへの影響度

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ユーザーが企業からの情報を受け取った結果、どのような影響があったかを「消費行動スコア」「好感スコア」「興味関心スコア」の3項目に分け、それぞれの項目に適した業界を紹介しています。

①消費行動スコア
SNSを通じた情報発信内容から実際に購買に繋がった人の割合を示したもの
・直接購買に繋がりやすい業種は「ファストフード・コーヒー・宅配」「コンビニエンスストア」
・直接購買に繋がりにくい業種は「自転車・二輪」理由は高額で購入までのリードタイムが長いため。

②好感スコア
SNSを通じた情報発信内容が、好感度や共感のアップに結びついたかの指標を示したもの
・高額な商材の場合、買い替え時のタイミングで好感度を高めるための施策が必要
・スポーツブランド・レジャー施設等の固定ファンがついている業種は好感スコアが高まりやすい

③興味関心スコア
SNSを通じた情報発信内容に対し、直接購入には至らないが何かしらのアクション(リツイート、コメント、キャンペーン参加など)を引き起こした度合いの指標を示したもの
・「飲料・ビール」がトップ。リピート購入を増やす目的で、SNSに連動したキャンペーンを積極的に実施し顧客接点の強化を目指していたため

まとめ
初めにSNS運用をする目的を明確にする必要があります。
・購買や資料請求が目的なのか
・認知拡大やブランディングが目的なのか
これらの目的と同時に、本当に手をかけるべきメディアがSNSなのかということも予め把握しておくことも大事です。時に商材によってはWEB広告などの施策の方が効率的である場合もあるからです。


ソーシャルメディアに与える影響

SNS活用は主に下記フェーズにおいて企業側へ様々な影響をもたらしています。

①販売フェーズ
SNSで商品訴求を行った結果、マス広告を通じた一方的なプロモーションよりも早く認知度を上げ、売り上げに繋がったという結果も報告されています。特にスターバックスなどBtoCの食品・外食産業で「想定を上回る売り上げ」が発生。

②商品開発フェーズ
SNS活用により、低コスト・短期間で多くの消費者の声を集めニーズの詳細をは把握できる。それにより従来よりも消費者ニーズにマッチした商品開発が可能になるようです。

③海外展開フェーズ
日本国内から海外に向けたSNSプロモーションによって、来日した際の購買や海外からの直接発注の事例が発生。海外市場を開拓するためにもSNSは有効的な手段といえます。


国内外の先進的なソーシャルメディア活用事例

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売るための情報を一気に拡散する」という目的から「共感を得て顧客との一歩踏み込んだ関係を構築」「顧客の本音や真のニーズをサービスに生かす」ためのツールとして活用する動きへ変わりつつあります。

なお、42社の調査においては、活用する目的として「販売促進」「認知向上」などが多数を占めたと報告されています。

事例その①
江東区亀戸にある和菓子販売の船橋屋は、顧客の大半が中高年女性だったが通販サイトでは男性や若い女性にも訴求を図りたい。主要な顧客層の息子・娘世代の30代40代の利用が多いFacebookを活用

事例その②
衣料品製造・販売大手のジーユーは、アプリから顧客が着こなしたジーユーファッションスタイルをInstagramで投稿。ハッシュタグを付与することによって後で分析も可能にした。

事例その③
千代田区にあるドミノ・ピザ・ジャパンでは、LINEを使って友達と会話をする感覚でピザが注文できるよう対策し、注文のハードルを大幅に引き下げた。

事後報告会のアンケート分析

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活用していない企業の主な理由としては、「人材や知見がない」が最も多く「効果があるかわからない」が次に多いとされています。
本格的に活用をするための課題として「活用ツールやシステムの普及」「活用の専門部署または人材の配置」と答える企業が大半を占めています。
人材が十分でないのに、効果があるかわからないSNSを活用していいものかといった不安がある企業が多く見て取れます。

ソーシャルメディア活用の課題と活用促進の方策検討

ソーシャルメディア活用に向けた国からの方策を以下にまとめています

・ノウハウの普及
SNS導入は低コストで実現できるが、成果を出すには一定の知見が必要。調査を通して先進的な普及事例や成功事例を把握し、企業に対して積極的なアドバイスをしていくことが必要。

・専門人材の育成の促進
特に大手企業においてはSNSを効果的に扱える専門人材を置いているが、急速に成長している分野のため専門人材が不足している。このような専門人材を育成するための方策の検討が必要。

・その他
SNSを活用する上で、ユーザーの個人情報保護においてどんなことに留意すべきかを企業は予め把握する筆が用がある。これらのガイドラインの策定とわかりやすい説明が必要。

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以上、経済産業省のデータをもとにしたソーシャルメディア活用の影響についてご説明しました。
企業のソーシャルメディア運用において、国からの積極的な対策や支援も今後期待できるかもしれませんね。