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自動運転システムで事故が起きたらどうなるか

■現行の保険ルールは責任が人にあるが…

車の保険において大切なことはだれに責任があったのかをはっきりさせて、支払いを行うという部分にあります。しかし、自動運転システムが世の中に登場すると、この責任の所在があやふやになってしまうのです。

今までは、事故を起こした側と起こされた側で9:1などの責任の割合を決めておりましたが、自動運転システムが登場することでこの考え方に待ったがかかるようになるのです。いわゆる、自動運転システムを使っている時に事故が発生したのなら、悪いのは自動車製造業者になるのではないのかということです。

あくまで、人間が運転に関与するタイプの「一部だけ自動化した自動運転」なら責任は運転手にあると言えるでしょうが、殆ど運転をしないようなシステムが完成された車の場合はどのように扱ったらよいのでしょうか。非常に難しい問題となっております。

アメリカの運輸省では人工知能を搭載して運転しているのなら人工知能をドライバーとして考えるのが合理的等の意見も出ているようですが、それでも議論はまとまっておらず活発化したままなのです。

■さらに厄介な事態を計算する必要がある

自動運転システムは何を目安にして走っているのかというと、道路にある白線です。この白線があるからこそ画像処理で走行ができるようになっております。そのため、白線の無い場所では走行がまだできない状態なのです。

ここで厄介な事態に発展するのが、「白線があるから走行可能な地域」として認定されたとしてもその白線が道路の老朽化でかすれて見えなくなってしまった場合、そしてそれが原因となって事故が発生した場合はどこに責任があるのでしょうか。

事故になってしまった原因があくまで白線が認識できなかったからという結論になってしまった場合、道路を管理するところが管理不足ということで責任を負う必要性が出てくると個人的には考えております。

悪天候になって白線が読み取れない状況になっているのなら、おそらく自動運転システムが効かないようにするとか、あらかじめ「悪天候時には自動運転システムは使わないようにしてください」などの注意書きがされるので責任はドライバーとすることができるでしょうが、道路側に問題があった場合はややこしい事態になると思われます。

■遠くない未来の話だからこそ議論はまとめる必要がある

東京オリンピックまでに自動化システムがある程度構築された車が出てくることが予想されておりますので、東京オリンピック前には法律を決めて保険会社も対応を決める必要があると言えるでしょう。今までは責任がどこにあるのかが簡単に決められておりましたが、自動化が当たり前になると、この考え方を改める必要が出てくるということなのです。